時給500円

鳥骨鶏社長は副業で、保管期間の切れた撤去自転車を払い下げてもらい、整備して販売している。けっこうよく売れるらしい。60くらいのおじさんが一人ですべての整備と販売を担当している。腕はたしかで、かなり忙しく、また繁盛しているのだが、このおじさんの時給はずっと500円のままだ。あまりの低賃金が腹に据えかねたか、ある日仕事場にこなくなり、そのまましばらく音信不通になったことがあった。会社の人たちも同情して、社長に、時給を上げるように進言したが、数週間後おじさんは社長のところにあらわれて、頭を下げてあやまった。そしてまた時給500円で働いているという。