父方の祖母は大韓婦人会会長として、

ことあるごとに民族教育と、本名使用の意義を説いて見せた。
そして私は、大阪にある韓国人学校に幼稚園が新設されたのをきっかけとして、
そこに編入させられた。まるでアリバイ作りのように。

祖母の孫たちのうち、韓国人学校に通っていたのは私だけだった。
住んでいる場所によっては通学も困難なので、仕方ない面もあるのだが、
それ以前の問題だった。
彼女ら(いとこたち)は、ことあるごとに韓国人学校のことを馬鹿にしてみせた。
曰く、レベルが低い、設備が整っていない、などなど。
あげくのはてには、ビビンバ(ほんとはピビンパ)とかキムチなんて言葉を使って
私をからかってみせた。私は内心あきれて、自分だけは日本人のつもりなのか。
レベルが低い低いって、あんたは学校でトップの成績とってるのか。
そのくらいの勉強なんてどこでもできるわ。と毒づいた。


もちろん私は、すべての在日が本名を名乗るべきと考えているわけではないし、
そんな権利も持っていない。

しかし、人に困難なことを要求する立場のものには責任があると思う。



しかし祖母は、あまりに自分に甘かった。